「え~じゃねぇよ!え~って言うくらいなら痩せろ。」


「…はぁい。」




王子に降ろされたあたしはシュンとした顔で王子を見ながら返事をした。



ん?




「………王子?」




王子は黙ったままあたしを見つめている。





あれ…


この雰囲気……


どこかで…前にも…あったような…


ほら……


あの……


ピアノのとこで……







思い出した途端、顔が熱くなる。


どうしよう…


心臓の鼓動まで…


早くなってきたんですけど!!



ぶっ倒れそうだよ!?


てか、降ろしてもらったけどさ…その…あたしの腰に王子の両手が回されたままで…身体がくっついてるんですけど!





「…お前、今これがどういう空気か、読める?」





「えっと…たぶん……その…あたしは…黙ってた……ほうが…いいです………よね?」



「正解。ついでに目をつぶると大正解なんだけど。」




ひゃあああーっ!
これはつまりそういうことだよね!?


鼻血出そう…



王子の腰に回っていた片方の手があたしの頭の後ろにそっと回り、王子の顔が近付いた。



ゆっくりとまぶたを閉じる。


目を閉じていてもわかる。


今、王子の顔があたしの5センチ前にある。


そして軽く唇がくっつい……………て……………る…………?





ガラッ!!!



「どぅあったー!あったー!コンタクトあったー!」

「えええ!本当ですか!?」



猿芝居開始。