ダーリンは王子様★

「ふわああ~…ねみぃ…」


奈良から京都へ移動するバスの車内。嵐が大きなあくびをひとつした。



「嵐寝不足ー?」


「コイツが…渉のせいで寝れなかったんだよ!」


「わたぽんが?なにしたの?」


「何もしてないよ。ただ布団入って寝る前に怖い話してあげただけ。」


「それだよそれ!それが原因で寝れなかったんですけど!」


涼しい顔で答えるわたぽんに嵐がツッコんだ。


「へ~アンタ怖い話苦手だったんだ。ヘタレだねぇ…」


香奈ちゃんが呆れたように言う。


「だってマジ怖いんだもんコイツの話!天井のシミは顔に見えるわ、夜中トイレに行けないわで全っ然休めなかった…その横でいびきかいて寝るしさぁ!」



「だって俺は怖くないし。」


「マジ卑怯!あー!この勢いだと京都楽しめなさそうだから俺は寝るぞ!おやすみ!」



そう言うと嵐はブレザーを脱いで頭からかぶり寝る態勢に入った。


なにやってんだか…


(ところで…ユカリンは王子にどこ見てまわるか聞いた!?)


香奈ちゃんがまわりに聞こえないようにコソコソっと耳打ちした。



(それがついてくると迷惑だからって教えてくれなくて…)


(うわ!地味にヘコむなソレ…)


(地味どころかガッツリヘコんだよ…あっ、でもね、夜会ってくれるって♪)


「ええぇーっ!?」


(ちょ、香奈ちゃん声大きいって!)


(あぁ…ごめん、つい…)


あたしと香奈ちゃんは前の座席に隠れるようにして身体を縮めた。