なんでこんなに俺に尽くすんだろう。

なんで俺みたいな人間を好きなんだろう。


そして俺は、


蒼井のこと





なんでこんなに




気になるんだろう。





次の瞬間、


自然と俺の腕は蒼井の身体を包みこんでいた。




そう、





抱き締めている。





なんでこんなことしてるんだろうって頭では分かってるし、ちゃんと理性が働いてるのに、身体は全く自分の意志とは関係ないみたいに動かない。


俺とは別のもうひとりの俺がそうさせている、そんなカンジ。




「……王子、どうしたんですか?」


「…ごめん、俺もわかんない。わかんないんだけど…身体が動かねぇ…。」


「金縛り!?」


「そうみたい、たぶん。」


「…だとしたら、王子には申し訳ないですけどあたし、超ラッキー☆そのまま金縛りにあっててくださいね!」



…脳天気なやつ。



蒼井はうれしそうに笑って俺の胸に頭をくっつけた。






言葉には言い表せない空気が、そこには漂っていたんだ。









「…どうでもいいけど、お前、俺の足踏んでる。」


「え!?」