「ど、どうしよう……殴っちゃった☆」


「キャーッ!吉田くん!?」


「しかも…倒れちゃった…みたい…なんですけど……」


「蒼井……」


「はい……」


「…逃げるぞ!」


「はいっ!!」



倒れる吉田を放置して俺は蒼井の腕をつかみ走り出した!





―――――――――


「はぁ……はぁ……こ、こんな……走ったの…久々…」


「はぁ…はぁ…はぁ…………あ、あたしもです…」



本気で走りすぎた…



逃げ込んだのは駅の近くの公園。平和に遊ぶ子どもたちと打って変わって息も絶え絶えの二人…



「………はぁあ……なんで、お前殴っちゃうわけ。」



「なんでって…理由はひとつ。王子を侮辱するヤツは死んでもあたしが許さないからです。」




大マジメに答える蒼井が、初めて頼もしく見えた。



「…スカッとしちゃいました☆えへへ♪」


えへへって…



「ったく…俺が殴るつもりだったのに!」


「うーぎゃーあー!」



蒼井のほっぺたを両手で思いっきりつねる。



「だけど……ありがとう。」


「えへへ☆喜んでもらえて光栄です♪」



なんでだろう。

なんでコイツはこんなに一生懸命なんだろう。


「……王子?」