「ピーッ」

試合開始。

試合うんぬんより観客の数が多過ぎてビビってる精神面弱しな俺。


試合に関してはまぁそこそこ自信がある!中学んとき一応バスケ部だったし、人一倍練習していたと思うし。


ただ問題は、俺が


“王子”


というもう一つの自分に勝てるかということだけ。


王子だからシュートはバンバン決めるし、いいアシストするし、チームを引っ張る存在。


そういう観客の固定観念に自分自身が勝てるかどうかがかなり重要だった。




なんて、ドキュメンタリータッチにかっこつけてみる俺ってばカナリきもい。



…そういえば蒼井もバスケって言ってたけど見に来てんのかな……




て!
また俺蒼井のこと考えてた!
くそっっ!


パシュッ―――


余計なこと考えてるわりにスリーポイントがスムーズに入った。


そうこうしてるうちにあっという間に試合が終了し、A組男子バスケは優勝した。


次は女子の番。




更衣室で軽くシャワーを浴びたあと体育館のアリーナからチラッと試合を見る。



蒼井出てんのか?
…なんだアイツあんなに言ってたのにベンチ入りですか。


て!
また俺さり気なく考えてた!
ヤバい…洗脳されてる…アイツに洗脳されてるっ!


「ジュースでも飲んでブラつこ…」