「ねぇママリン。おーじさまってなぁに?」


「王子様っていうのはカッコよくて強くて優しくてお金持ちで一途にお姫さまを愛するとにかく完璧な男の子よ☆」


「むずかしーよー。」


「まだユカリンには分からないかもね~。」


「ほんとにいるの?」


「いるわよ♪ユカリンが望めばきっと王子様は現われるわ☆」


「ユカリン、おーじさまとけっこんする!」


「まぁ☆頼もしいわね♪いつかきっと現われるわ、いつかね。」






そんなことを誓ったのは4歳のとき。


気付けばあれから10年以上月日は流れていた。









――――――――――

「悠太ー、ユカリーン!夕飯出来たから降りてらっしゃーい☆」


「はーいっ☆」




階段の下からママの甲高い声が聞こえた。


あたしは読んでいた雑誌を閉じて部屋を出る。


「うわっ!」