「え?新人?聞いてないっすよー」



成瀬さんはあたしを見るなり、目をパチクリさせた。



黒いキャップを深くかぶっていてあまり顔が見えないけど…大人のお兄ちゃんみたいな印象。



「こいつは成瀬慎也、よろしくしてやって?」



あたしに向かって代わりに自己紹介する健斗さん。



成瀬慎也さんかぁ…じゃぁ慎也さんって呼ぶのかな?



見る限り18歳くらいかな?



「今日から働く事になりました。南城蒼衣です!」



改めて頭を下げて自己紹介すると、慎也さんはあたしに視線を向けた。



そしてキャップを片手で外して頭をペコッと下げた。



「何歳なの?」



「16歳です…」



「そうかぁ~、よろしくね」



ニコッと微笑む慎也さんの笑顔が、何故か目が離せなかった。



なんか笑うと幼く見えちゃう…



健斗さんも納得したように頷きながらあたしと慎也さんを置いて店の奥へ行ってしまった。



さっきまで沢山居た先輩達も仕事に就いたみたいで、ここにいるのはあたしと慎也さんだけ…