あたしも段々と接客業に慣れて来て、早くも後輩が入ってくる事が決まった。
いつ訪れるかは知らされていないけど、女の子はオーナーとあたしだけだから女の子が来たらいいなぁ…なんて。
「蒼衣ちゃんの流れで可愛い子来ないかな~」
オーナーしか情報が入らないから、オーナーと同僚の健斗さんにもさっぱり分からないらしい…
オーナーに聞くのも何だか教えてくれない気がする…
カランッ
その時、店の扉からお客さんが入ってきた。
「いらっしゃいませー」
1に笑顔と言われただけあって、お客さんにはまず笑顔を向けないとね。
入って来たのはフードを被ったあたしくらいの男の子。
テーブルに案内しようとした瞬間……
「では案内しまっ…」
振り返ると同時に男の子に腕を掴まれて、思わず体勢を崩した。
だけどがっしりと身体を受け止めてくれたフードの男の子は、ニコッと笑っていた。
「わっ!!」
「大丈夫?気をつけねーとさらって行くぞ?」
耳元で囁かれた瞬間、耳が熱くなる。

