「なんか新人のあたしに、色々構ってくれてありがとうございます…」
話題がなくてペコッと謝礼をすると、慎也さんはクスッと小さく笑う。
「俺こういう人初めてで、構ってあげたくなるんだよなぁ~」
上の空に視線を浮かべて、口を開く慎也さん。
「こういう人って…?」
「妹みたいな存在ってやつ?俺と年1こ違いだろ?」
……慎也さん、高2?!?!
もっと年上かと思ってた…どうりで可愛いわけだ。
でも何処か大人で本当の年より上に見られるだろうなぁ…
優しいし、親切で人懐っこいし…
「さぁ、仕事就いてー!蒼衣ちゃんは接客専門でね」
間に入って来たオーナーは、若々しい笑顔であたしに仕事を与えてくれた。
憧れてたウェイトレスの仕事を今日から…
慎也さんと会話してた事なんてすっかり忘れ、嬉しくてオーナーに着いていった。
…こんな日がいつまでも続けばいいって思ってた。
……だけど…貴方に出会ったからこそ幸運で不幸な事だって起きるんだ。
仕事を始めて1週間が経ったある日。

