透弥さんに嫌がらせって何?

「…本気だって言ったら?」

間を開けて告げるそれは今までの朋弥さんとは違って重く響く。

含み笑って応える声も、

「今頃?朋弥は相変わらず勝手過ぎ。今までの行いを省みなよ。晶を託せるはずないでしょ?」

低く抑揚を押さえ冷たかった。

「言いたいことはそれだけかよ?…なら遠慮はいらねぇよな?かっ拐ってやるよ後悔すんなよ?」

ゲームを宣告するように、軽い感じなのに声は低く重いままだ。

「構わないけど。相手は晶じゃない僕だ。勝負したいなら僕が承けて立つよ。期末の結果ならもう見えてるよね?」

眼鏡を指で押し上げ、

「朋弥には不利だと思うけど?」

直視する。

「そうだよな…勉強で透弥に勝とうなんて思ってねぇよ。ってかお前に勝てる奴なんていんのか?本気になりゃ尚勝てる見込みねぇじゃん?」

ふわふわ掴みどころがないいつもの話し方に変わった。

「なぁ透弥。晶ちゃんのことマジで惚れてるんだよな?」

透弥さんの答えはない。

沈黙が続く。

なっ何でそんなこと聞くのよ。
こんなの印籠渡されたようなもんじゃない。

もういいよ…。
惨めになんじゃん。

透弥さんの行動や言葉一つで上がったり下がったり。
底無しに突き落とされて、もがき苦しみ抵抗する気さえ起きなくて…いっそ早く墜ちきればいいとさえ思う。