不器用なLOVER

静かに透弥さんが語り出す。

最初の被害者は6年前。

当時小等部6回生だった透弥さんの隣の席になった女の子は、あるグループからイジメのターゲットになり登校出来なくなった。

中等部に進級した年。

学級委員で一緒になった女の子は出会い系に度々番号やアドレスを流出され、それが学園の問題になった。
サッカー部のマネージャーは、アイコラを学園の掲示板に貼られ、マネージャーを辞めた。

この頃から自分に関係ある子が被害を受けていることに気付き、他人と特に女の子との距離を置くようになっていったんだって。

宮原物産の一人息子で、
全国模試では常に上位、
ＭＦでキャプテン、
どうしたって目立つ存在である自分に良く思わない者がいることは仕方ない。
そう自嘲気味に言った。

2回生で生徒会に入った頃から眼鏡を掛け始め、
3回生で生徒会長になって副会長が女史になった。

「僕が気を付けてさえいれば…」

そう目を伏せる。

大学までエスカレーターだとはいえ、其々卒業試験がありその結果次第では進級が出来ないことになっている。
ブルジョアジーだけど学力のレベルも進学校に肩を並べるぐらい高い。

その大事な卒験を前に、進級生のための歓送迎会の準備に負われていた…。

最終準備に時間が掛り、
夜道を一人帰らせてしまった。