予想外の言葉にただ見返すしか出来なかった。

「どうして簡単に付いて行ったりするの?
少しは危険を感じなかった?

僕が言ったこともう忘れたの?
君は隙が有り過ぎるんだ。

僕がどんな思いしたか知ってる?

君と、晶と離れてる間、どんな思いで過ごしたと思ってるの?」

いつもの単調な話方とは違って、感情をストレートにぶつけられ、

何も言えなくて、

うつ向いてしまう。

「ゴメン。言い過ぎたね。
晶も倒れる程辛い思いしてたのに」

空いた手で私の髪を撫でる。

「きっと僕より苦しかったよね」

透弥さんの優しさに涙が溢れて、

「うっ…」

鳴咽が始まる。

そっと抱き寄せる腕に捕まり、
顔を埋めた。

「もう…一人で泣かないで。
僕がいつでも傍にいるから」

背中に腕を回すと、

見た目よりずっと逞しくて、

私をすっぽりと包む厚い胸に、

男の人なんだなと思った。

「透弥さん…、心配掛けてごめんなさい」

私を抱き締める腕に力が加わり、

「分かればいいよ」

見上げると、
私を見守る
優しい眼と合う。

そっと睫毛を伏せると、
額に唇が触れた。