【心配要らない…。
鉄宏さんは男の人だから】

透弥さんは知ってたからあんなに落ち着いてたんだ。

「でも透弥さん…あの時ホントは中で何が有ったの?
鉄ちゃんが怒ってたのは何故?」

二人に届かない様に小声で呟き
見上げると微笑むだけで答えは
返って来なかった。

「…聞いて知ってるだろうけど…透弥様からってのも癪だから…自分の口で伝える黙って聞けよ」

鉄ちゃんの声と人が動いた気配に中の様子を伺った。

「俺は…志穂が好きだ」

今…鉄ちゃんが志穂さんを好きだって言った…。

聞いている私の方がドキドキして息を飲んで次の展開を待った。

「スタイリストとして俺の前に…透弥様に連れられて現れたあの日からずっと好きだったんだ…。
志穂が透弥様を思ってるのも…、透弥様に敵う筈無いのも知ってるけど構わないと思ってたんだ…」

志穂さん喜んでるだろうな…。
諦めた恋が実ったんだもん嬉しいに決まってるよね。
私まで嬉しくて泣きそうになる。

「ずっとこの気持ちは隠し通す…つもりでいたのにな…。
透弥様が言うからさ…。
カッコ悪い上に情けないよな…。志穂じゃなくても願い下げだよ」

志穂さんが応える前に鉄ちゃんが勝手に結論付け出した…。

自信家の鉄ちゃんは居なくて…。

志穂さんお願い早く何か応えて!

祈る気持ちで見守り続ける。