優しく目を細めるから…
ゆっくり目を閉じかけた…

「睫毛取れたよ?」

離された指先には確にそれらしきモノがあった。

「さあ…本当に始めよう。
ボランティアの活動内容が決まり次第人数の割振と先方へアポイントメントを取る必要性から出来る限り迅速に行動に移さなければ間に合わなくなるよ」

徐に立ち上がると、
棚から一冊の分厚いファイルを、取り出し手にした。

「今までの活動内容と先方からの感想の報告書だよ」

勝手に勘違いして熱った顔を、
誤魔化す為に慌ててファイルに
手を伸ばし受け取った。

見れば確かに
老人ホームや養護学校などの施設から近隣地域のゴミ拾いを含めたあらゆる活動が記載されている。

「この中から活動内容を決めれば良いの?」

まともに顔を合わせられずに、
ファイルに視線を預けたままで
尋ねる。

「時間もないことだから基本は、そうなるよね。
新しく受け入れ施設を探すのは…労力も掛かるでしょ?」

正面に腰を下ろす透弥さんを目で追いながら寂しく感じていた。

隣には…まだ透弥さんの温もりが残っている。

それにそっと手を重ねていた。

「ところで…晶が期待してる件は僕の出発前まで待ってて欲しい。今は僕も迂闊だったけどやはり、晶にはそれなりの想い出にはして欲しくないんだ」