不器用なLOVER

私の反応の薄さから察し更に付言する。

「この学園方針は企業の…日本のトップを育てることだからね。
唯の虫除け校でもブルジョア校でもなく意識分野でのファーストクラス校でなければならないんだ」

私には透弥さんが遠過ぎて見失いそうだよ。

「…透弥さんが分からない」

思わず口に出た言葉に自分で驚き透弥さんの顔を振り仰いだ。

無言で私を見つめるだけで表情を変えることもない。

こんなこと言いたかった訳じゃないのに。

自分でも戸惑ってるだけなのに。

何も言ってくれないの?
呆れてるの?

それ以上顔を見られなくて俯く。

やっぱり私には透弥さんを支えてあげられないから。
だからなの?

涙が頬を伝い落ちて気付く。

私が気にしてるのは…

その時、耳に届く深い溜め息。

顔を上げる間もなく手を引かれ、足早に歩き出す。

扉の奥に引き摺り込まれると同時に強く抱き締められる。

「まだ…極秘なんだ廊下で話せる様な内容ではないから…。
でも…晶を傷付けたことに変わりないよね」

透弥さんの腕に力が加わる。

苦しいくらい強く抱き締められているのにそれが少しも嫌ではなくて。

「…ゴメン晶」

耳元で囁く声が私を揺さぶった。