透弥さんに答えた辰おじさんに、

「被害を受けるって?」

つい口を挟んでしまった。

「ん?」と首を傾け

「実は元々ブラジルに行く予定を遅らせて欲しいと頼まれていたんだが、今回の事で1週間のボランティア活動だ…。いくら透弥君といえど特別扱いは出来ないからね」

そっかその間は透弥さんと一緒に居られるんだ。

私は単純にそう喜んでしまった。

けど…、

次に言った辰おじさんの言葉に、固まってしまった。

「然し透弥君も残念だったな…。態々遅らせてまでやりたいことがあったのだろう?
何でも特別な縁談があるそうじゃないか。
君にとって実にプラスになるそうだね?」

笑顔を携える辰おじさんと、

対照的に、

顔から血の気が一気に引いた私は

同時に透弥さんを見た。

透弥さんは私を見ることも、

「…速いですね。
まだ極秘事項なはずなんですが、どちらか強力な情報網でもお持ちなんでしょうか?」

否定も肯定もしなかった。

「いや大したことはないさ。
まあ、しっかり頑張りなさい。
私が言うまでもなく君なら大丈夫だったね」

「有難うございます。
僕はまだやることが有りますので失礼します」

一礼してその場を去って行く、
透弥さんの後ろ姿を唖然と見つめている私の肩に辰おじさんが触れた。