不器用なLOVER

朋弥さんの予想通り透弥さんの姿を談話室で見つけた。

「…然し、我々としても当然そんな話を鵜呑みには出来ない。
宮原君なら理解出来ないはずはないだろうに…。
何か裏付けと成りうる根拠を示してくれないか?」

冷静な中にも困惑の色を隠しきれない表情を浮かべたPTA会長が
透弥さんに詰め寄る。

それを顔色を変えることもなく、指で眼鏡を押し上げた。

「それでは逆に、乱闘騒ぎの後…彼等の行動に中断を促す行為は、見受けられましたか?
乱闘事態はけして褒められた行動ではありませんが、
それだけ体育祭を満喫していた。ご存知でしょうがこの学園に通う生徒等は行動に制限があります。日頃窮屈な思いをしている。
確に目に余る行き過ぎた行為ではありました…然しまだ学年の立場なんです。
羽目を外すことも時には必要なんだ。
キレて取り返しの付かない事態を引き起こす前にそれを気付かせることも教育ではないかと、
僕は考えます」

透弥さんの用意した様な説明に、暫くの間誰も口を開く者はなかった。

辰おじさんさえも音も立てず窓際まで移動し黙ったまま外を眺めているだけだった。

談話室を静寂が支配していた。