透弥さんを間近で見てきたから、今の私には信じられる。

それは透弥さんの本心ではない…ということが。

「宮原物産出しちまったか…」

朋弥さんが空笑いをした。

「どういう意味ですか?
透弥さんが宮原物産の後継者って皆知ってるはずですよね?」

なのに…、何で今更?

私の顔に浮かぶ疑問を読み取り、

「この学園に通う奴らってのは、多かれ少なかれ宮原物産の恩恵を受けた会社のJr.達だからだよ…宮原物産は云わば神で宮原物産の発言は絶対だ」

朋弥さんが説明を始めるけど…。

「要は宮原物産は世界経済に、
多大な影響をもたらすってこと。宮原の人間に睨まれりゃ…
この国では生きていけないぜ」

規模が大き過ぎて付いていけず…

「日本には宮原グループ以外の会社だって在るのに?」

それだけ言うのが精一杯で、
朋弥さんを見つめていた。

「そうだな…、会社なら幾等でも在るだろうさ…。
けど、宮原が本気になりゃどんな会社も壊滅させられる…。
実質宮原に敵はねぇってことだ。この学園の連中に…それが分からねぇ奴は居ない」

つまりそれは、
今の透弥さんの発言は強制力を、持っていたということだ。