不器用なLOVER

いつも通りの知的な容貌を崩さず

「何?」

朋弥さんを見据える。

短い溜め息の後。

「晶ちゃん…俺の半裸は高いぜ?勝てば好きにしていいんだよな?だったら、晶ちゃんのも拝ませて貰わねぇとな」

顔を緩ませる。

「俺とお前の勝負なんだよな?
どう付けるつもりだタイムでも、計るのか?」

透弥さんを睨み付けた。

「否…単純に先にゴールした方が勝ちで良いよ?」

顔色も変えずに返す。

「随分余裕だが…良いのかよ?
うちは強豪揃いだぜ?」

朋弥さんがほくそ笑んでもまだ、

「嗚呼…構わないよ」

微笑を浮かべるだけだった。

「そうかよ…」

すっかり乾いた水で洗っただけの体操着を拾い上げ、

「後で泣きを見て後悔すんだな」

立ち去って行った。

残された透弥さんと二人。

真っ直ぐ見上げ、

「どうするの?
私の裸見られちゃうよ…」

不安で泣きそうになる私を、

「晶は僕が負けると思ってるの?僕が信じられないんだ?」

目尻を下げて見つめる。

「そうじゃないけど…」

拭い切れない不安に口籠る。

「誰にも晶の肌は見せないよ。
大丈夫総て想定内の事だから」

透弥さんの自信に、

「私がお願い聞かなかったのも?想定内のうちなの?」

思わず不平を漏らす。

「当然でしょ?」

あっさり認められてしまった。