本の一瞬
微かにほくそ笑んだ…。
気がした。

「何故朋弥がそれを気にするの?朋弥は僕のパートナーを辞退したはずでしょ?」

「…嗚呼」

口籠ってしまった朋弥さんに、

「晶は何も気にする必要ないよ。僕に任せておけば心配ないから。晶は僕が守るから僕に頼り切ればいいんだ」

当て付ける様に、
何処か態とらしく言い回した。

「お前…、又、そうやって一人で背負い込みやがって。
側近分の仕事増えてんだろ?」

朋弥さんが堪らず口を挟む。

「それは仕方ないよ…。
僕が腑甲斐無いばかりにパートナーに逃げられたんだからその分負担が増えるのは当然のことでしょ?」

又だ…。
微妙にだけど鼻で笑った。
静かに僅かに。

朋弥さんに顔を背けた状態で、
見上げてる私しか気付いてない。

「お前なぁ俺の忠誠心を侮んな。外れたぐれぇで見放す程軽くねぇんだよ。
晶ちゃんの面倒ぐらい俺が見る」

朋弥さんが声を荒げた。

「そんなこと出来るはずがない。宮原グループと無関係の人間に晶を託せないことは知ってるよね?
例えそれが朋弥でも…」

透弥さんの低く威圧的な声に、
朋弥さんも口を閉ざしうつ向く。

朋弥さんからみれば透弥さんを、怒らせた様に感じるけど…。