透弥さんが朋弥さんと向かい合い

「ところで朋弥、狙いは良いけど肝心の晶に伝わらなきゃ意味ないと思うんだけど?」

唐突に切り出す。

「何の事だよ?」

朋弥さんも察しているのか、
透弥さんを見据え顔を歪める。

「僕の遍歴を引き合いに…、
意識させるって魂胆何でしょ?」

朋弥さんは返す事もしないで、
目を閉じてしまった。

「決めかねてたんだけど…、
朋弥の意思がはっきり分かった今敢えて言わせてもらうけど…」

透弥さんの言葉を遮り、

「嗚呼〜マジ嫌味な奴だなお前。そうだよ明察の通りだよ。
…んで、失敗にも気付いてんの」

両手で頭を抱え込む。

その様子に満足したのか、

「そう。なら…指摘する必要は、ないよね?」

鼻で笑った。

「今更されても意味ねぇしな…。大体、分かってんならお前がヤレってんだよ」

投げ遣りな朋弥さんに、

「朋弥が先走るからだよ。
僕は僕なりのやり方で導くつもりだったんだけど。
朋弥が張り切ってるみたいだから任せてみようと思っただけだよ」

付け加えた。

「マジでムカつく」

鋭く透弥さんを睨むが、

「朋弥は仕掛けるタイミングが、何でも速過ぎなんだよ。
最初に飛ばすから途中経過は良くても後半バテて息切れを起こす」

涼しい顔で受け流した。