腰に回す腕に力を込め、
強く引き寄せられる。

深い呼吸の後、

「だから晶は僕を信じて僕だけを見てること…。
必ずトップを獲るから待っててよ」

目尻を下げて見つめられ頷く。

「なら…応援してよ…。御守り、頂戴」

ゆっくり閉じられていく眼、

キスしてってことだよね?
でも…もし違ってたら…。

色々迷って…。

目を閉じてゆっくり近付く…。

でも…、
ほとんど初心者の私には、
距離感が掴めてなかった…。

前に一度だけ透弥さんのお願いで自分からしたことがあるけど…。

あの時はハグの後で顔も近くて、高さも略変わらなかったから…。

どれだけ近付いてから目を閉じるのかなんて分かるはずもなく…。

この辺かな?
もう少し下かな?

胸の高さの透弥さんに、
その位置から目を閉じてゆっくり近付いて行ってしまった…。

だから気付くはずもなく…。

いつまでも堕ちない唇に透弥さんが眼を開けていたことなんて…。

目を閉じまま近付いてく間抜けな私を見られてたなんて…。

普通に考えれば、
そんな危ない近付き方でちゃんとキス出来る確率なんて僅かなんだろうけど。

なのに私は…。

唇に触れる柔らかい感触に…。

あっ…。

透弥さんの唇に触れてる。
無邪気に喜んでた。