不器用なLOVER

体育祭当日は雲一つない快晴で、真夏の焼けつく陽射しが憎らしい

「ほら晶おいで」

開催前の集合場所で、
透弥さんが手招きする。

「紫外線に含まれる有害物質は、テントの下も地面からの照り返しで受けるからね」

呼び寄せた私の手を取り、
日焼止を塗り始めた。

周りでも皆が塗り合いをしてて、

「ありがとう」

素直に笑いかけた。

両腕を肩辺りまで塗り終えて、
首から襟元に移動した。

ちょっと恥ずかしいかも?

「ありがとう透弥さんにも塗ってあげるね」

差し出す手を素通りし、

「晶が終わってからでいいよ?」

太股へと手を伸ばすので、

「足は自分で…するから」

その手を制したのに、

「じゃあ…晶は顔に塗ってて」

掌にクリームを出し、
直ぐに内股へと手を差し入れた。

「ヤッ…」

思わず漏れた声に、

「クリーム塗ってるだけだけど」

口角を上げて笑う。

「冷たかっただけだもん」

苦しい言い訳で誤魔化しても、

「そう?ほら手が止まってるから顔に塗ってなよ」

意地悪い顔のまま促すから、

「分かってるよ…」

顔に貰ったクリームを塗り始めるけど…、

上腿をしなやかに撫で上げるので

…集中出来ない。

これで声まで出ちゃったら絶対にまたからかわれちゃうんだから。