止まらない涙に、
透弥さんが気付く。

「とにかく、宮原に晶を巻き込むつもりはないから」

朋弥さんに明言して、
近付いてくる。

「とっ、やっ、さん」

しゃくり上げてしまい、
巧く声にならなかった。

同じ様に床に座り込んでいる私を立て膝を付いて抱き寄せ。

「ゴメンね?
団旗一人で大変だったよね?」

透弥さんが優しく背中を擦るから

「ゴメっ、ン、なさっ、い」

終わらなかった修繕に、
悔しいのか、
情けないのか、
申し訳ないのか、

その全ての感情が入り混じってて

透弥さんにしがみ付いて
泣きじゃくった。

泣き止むまでずっと
背中を擦り続けてくれて。

泣き疲れてしまった私は、
透弥さんにもたれたまま
眠くなってしまってた。

微睡みの中、

私を抱えたままの透弥さんは、
ゆっくり体勢を変えて
床にかいた胡坐の膝に
私を降ろす。

団旗は毛布のように私を包み。

縫っているときには、
あんなに憎らしかった生地も、
優しい温もりで心地良い。

更なる眠りに誘う。

「ぶっちゃけ…俺のが頑張ったと思うんだけど?」

「どうせ燃える自分は赤旗とか、言ったんでしょ?」

「勘繰ってんじゃねぇよ」

「お礼もお詫びも、終わるまではないから。責任持って、最後まで残って片付けてってよね」

透弥さんと朋弥さんの会話が、
直ぐ近くで聞こえてたけど、
目を開けることも…
応えることさえも、

今の私には適わなかった。