会長室に着くなり、

学園のネーム入り封筒の分厚い束とリストを渡される。

「晶に同時進行は厳しいと思う。優先順位を決めよう」

最初はこの封筒にリストの宛名を書き写すこと。

それが私に託された仕事だった。

その間に透弥さんは、パソコンと向かい合い驚異的な速さでキーを叩いていった。

授業終了のチャイムの後、

会長室のドアがノックされ

「あれ?里中さん早いね?」

実行委員の一人が立ってる。

「んで、会長は?」

私の上から室内を覗き込もうと、上体を近付け…

「これ保護者用だから…配って」

それを押し返しながら、まだ熱を持つプリントの束を差し出した。

「えっ…?あっ、はい直ぐに」

束を抱える後ろ姿を半分体を出し見送ってると、

「晶…隙あり過ぎだよ」

溜め息と共に腰を引き寄せられ、

「簡単に近付かないで…」

ドアを閉めて首に顔を埋める。

「いつも僕が守ってあげられるわけじゃないから…」

透弥さんの吐息に電流が走り、

「透弥さん…」

顔が見たいのに後ろから抱えられ身動きも取れない。

「私は大丈夫だよ?」

心配し過ぎだよ…。

「晶は分かってない。そうやって無防備に近付くから朋弥にも…」

「朋、弥さん…?」

朋弥さんにも何?