透弥さんは自分の勉強もしないで私に付き合ってくれてるけど…。

「透弥さん…これは?」

私もずっと質問ばかりで集中させてあげられないし。

心の中で申し訳なく思いながら、
その優しさにすっかり甘えてしまっていた。

時折リビングに下りては、お茶の時間を挟んでくれる。

勉強しなきゃって焦る私に、

「集中力には限界があるから、
適度な休憩は大切だよ」

優しく髪を撫でる。

「でも…明日からなんだよ?」

ソファに身を任せたまま、長い足を優雅に組み替え

「大丈夫だよ、学校でもやってたでしょ?」

そうだけど…。
色々と集中出来なかったというか

「勉強にも方法があるんだけど、知ってる?」

片手が肩を抱くように背持たれに回され、

「予習、復習、反復、継続…。
読み書き、解く、考え、作る」

片手を組んだ膝の上に乗せた。

「教科書に目を通しノートに通し僕の問題を解くことを毎日続けて習慣付けていたから…」

背中の手が頭を包み固定させ、

「時々…違うことしたとしても、その休息も大切な勉強だから」


顔を近付け、

「全ての勉強は根を積め過ぎると空回ってうまく行かない」

唇を軽く吸って離しまた繰り返す

透弥さんの熱を求めて唇を開く、けど…

「バランスが大切ってことだよ」

静かに立ち上がった。