太郎物語

なんだよこの本。


[買ってよ!]



軽く脅されてるような気がするけど…。俺はその本を手に取った。



[ありがとう]



俺はおばあさんに本を渡した。



「あんた、この本を買うのかい?」


「えぇ」


「そうかい。いまどき、こんな本を買う少年がいたとは。あたしゃ嬉しいよ」


「そうですか…」


「何でこの本にしたんじゃ?」


「なんか、私を買ってみたいな声が聞こえて、この本だけ光ってたんです」



そう言うとおばあさんはびっくりした顔をした。そして、



「あんた、いい男なんだな」


「いえ、そんなことないですよ」


「いや、いい男だよ。この本を声を聞いて買ったって言う人は、絶対幸せになる」


「なぜ?」


「この本はうちでしか売ってない。ここで買っていった人はみんな幸せになってるんだよ」



すげー!!!超感動。俺、幸せになれちゃうの?最高!!!



「綾ちゃん」


「はい」


急に話を振られて、びっくりしている蔵木さん。


「あんた、いい男見つけたね」



おばあさん、なんてこと言ってるんだ?まだつきあってもないし…。



「はい…///」



蔵木さん、なんだよ、はい。って…。



ん?はい。?…えぇぇぇぇ!!!



なに?遠回しのプロポーズ?