「昴、あんたふざけてんの?あんたがついてこいって言ったから、ついてきたんだよね?なのに、何なの?この状況。昴が慕ってるらしいお方は、全く計画性も女性の扱い方も全く心得てないみたいね?大丈夫なの?頭。あたしの友達のお父さん、大学病院で働いてるんだけど、紹介してあげるね、今度」


「えと…詩織ちゃん?」


困惑してる昴の声も聞こえてきたけど、そんなの関係ないし。

ただ、


いつから俺の事昴って呼んでる…?
って声だけはしっかりとあたしの耳に聞こえてきた。


でも、その間にもあたしの井戸端会議中の叔母さん並のマシンガントークは止まることを知らない。

「大体さぁ!こんな部屋に女の子をほったらかすってどうなの?あたしの知り合いにこんな人はいないし、いたとしても絶対モテない。
モテたとしても所詮顔だけの男だった、とか言ってふられるのが落ちだと思う」


「おい、」


「絶対そうだよ。ってか、最初っから変だと思ってたよ?汚い路地裏に連れて来て、謝るくらいなら考え直せよ。ここだって、掃除、掃除しようよ。缶とか、ゴミばっか置いてたらものすごく臭くなるよ?いいの?臭い上に計画性もなくて女の子の扱い方も分かんないなんて最っ低だよ。最低な男だよ。あたし、起こってるの通り過ぎて、何か心配になってきちゃったよ。大丈夫なの?」


「詩織」


詩織。


詩織。



あたしの名前だよね。



呼び捨てかよ、おい。



ついにあたしの名前呼び捨てですか。