「だーめ。詩織、嘘つく時絶対眉間に皺寄せるから。今もそう」



ゆっくりと眉間に手を当ててみる。

そこには深く刻まれた皺が。



‘ちっ’とあたしが舌打ちしたのを零は見逃さなかった。

「あっ今舌打ちしたぁ!そういう女の子は彼氏できませんよ!!」


零はたまにお母さんみたいなことを言う。
あたしのお母さん代わりしてくれてるのかな?


「零には関係ないじゃん!ってかあたし今日彼氏出来たし」


そう、あたしは今日彼氏が出来たの!
これで年=彼氏いない歴です、って合コンで言わなくて済む!


だって、これまではそんな事言うとみんな苦笑いってか近寄ってこなくなっちゃったんだけど。
言わなきゃいいんだけど、何か言っちゃうんだよね…


ってあたしまた心の中でたくさんしゃべってた!


「零ー?ごめん。また、あたし一人の世界に入ってたねぇ!」


そう言って零を見ると、あたしは零に睨まれてた。



「え…」


あたし、零に何かした?


さすが不良のトップなだけあってその睨みはすさまじい。
弟だって大丈夫だって分かってるのに、あたしの体はぶるぶると震えだした。
目には涙が滲んでくる。


睨んでるのが怖いってだけじゃないの。