次の瞬間。


「凌河!!」


凌河が勝った。


あれ……。


どうしたんだろ。


私は泣いていた。


「あれ…どう…したんだろ。」


涙は、止まらなかった。


次から次へと零れ落ちる涙を、止めることができなかった。


「ばぁか。」


頭の上から声がしたと同時に、抱きしめられていた。


「りょ…凌河。」


「いつまで泣いてんだよ。」


「だって…。」


「俺が負けると思った?」


私は凌河の腕の中で、小さく頷いた。


「やっぱ、思ったよな。でも、勝てたんだからいいじゃん。結果オーライってことで。」


「ばか。」


そんな呑気な凌河に笑顔がこぼれた。


「姫。」


鳳さんの声がした。


「俺の負けだし、今日のところは帰るよ。ひとつ、注意しておく。


白鳥には気をつけろ。」