マリッジ×鬼ごっこ☆

「凌河?」

力強く抱きしめられて、身動きの取れない私は、

いつもと雰囲気の違う凌河に圧倒された。

「……。」

私の問いかけに答えず黙ったまま。

「あれ?」

今までしなかった音がしてきた。

ポン・ポン・ポンって…。

音のする方へ目を向けると、鳳さんが

サッカーボールでリフティングをしていた。

「鳳さん。何してるんですか…。」

「見て分からない?」

「リフティング…です。」

「そう、リフティング。分かってるじゃん。」

その時、今まで動かなかった凌河が微かに

動いた。

「凌河。」

「ごめん、瑠香。痛かった?」

「ううん、大丈夫。」

さっきまでと違って、いつもの凌河だった。

そして、私を抱きしめていた腕から力を

抜いた。

「ようやく動きだした。もうしばらくは、

そのままかと思ってた。」

鳳さんが言うと、凌河が言った。

「はっ!?意味わかんねぇよ。」