事前に知らされていた開演時間から10分程前になって、ライブに出るという友人と同じクラスの子が駐車場に姿を現した。「来てくれてありがとう」とお礼を言って回っているのだ。蒼子はその時初めて玲を見た。コピーするアーティストのジャケ写と同じように、手作りのビーズティアラを頭のてっぺんに固定し、レースの白いキャミソールにタイトなショッキングピンクのカーディガンをはおって第2ボタンだけを止め、黒いフリフリのスカートに細いボーダーのハイソックス、ヒールのパンプスといういでたちは蒼子の目にとても新鮮に映った。なぜなら蒼子はどこに行くにも制服だったから。その日も模試の帰りだったため友人と二人制服にリュックサック、白ソックスと野暮極まりない格好だったのである。
「玲ちゃん!」友人がかけ寄って行くのを蒼子は複雑な心境で見守った。なにしろ自分は付き添いで玲とは面識も無いのだし、こちら私の友達の蒼子今日は一緒に来たのいやいやどうもこんにちはいやこういう場所は慣れなくて緊張しちゃってんだけどはじめましてどうぞよろしく今日頑張ってねなどと話をする雰囲気では到底無かったのだ。
「玲ちゃん!」友人がかけ寄って行くのを蒼子は複雑な心境で見守った。なにしろ自分は付き添いで玲とは面識も無いのだし、こちら私の友達の蒼子今日は一緒に来たのいやいやどうもこんにちはいやこういう場所は慣れなくて緊張しちゃってんだけどはじめましてどうぞよろしく今日頑張ってねなどと話をする雰囲気では到底無かったのだ。

