僕は大型バスで移動している・・
今から何処に行くのか解らない。

自分の意思で乗り込んだのに、
行き先不明の目的地を目指している。

自分の人生のようだ・・・

見切り発車の行く末を
求めているのか?

窓際で見慣れない景色を
眺めながら・・・

静かな不安を持ち座っていた。

バスの中には色々な方言が
飛び交っている。

そのバスの中だけは
異様な空気で一杯だった。

ガヤガヤした雰囲気ではなく、

静けさと、
コソコソと聞こえる方言で

これから行く目的地の場所を
物語っているようだった。

隣の席を見ると
かなり年配の男性が、
ヨダレをたらしながら寝ている。

髪はボサボサで長く、
壊れたメガネをかけ、
細身の体には似合わない
LLぐらいの大きさの
シワシワの服を着ており、
下のズボンは、

調味料かな?と思うシミ
(醤油、ソース類)が
いくつもあるジーパンをはいていた。

正直・・気持ち悪い。

何なんだ?コイツ??

僕の本当の気持ちだった。

その男性が
寄りかかっている方向が、

自分と逆の補助席側に
寄りかかっていた事だけが、
救いに感じられた。

人は外見で判断するなと・・
子供の頃、教えられたが・・

第一印象なんて殆ど
外見で決まってしまうだろ?と
自問自答していた。

補助席に座っている人には
申し訳ないが・・・

今から自分の世界に入ろうかな。

そう思い窓ガラスに頭を傾かせ、

バスのガタガタした揺れを
感じながら
眠りに入った。

目を閉じゆっくりと
ぼや~とした夢の世界に
入って行った。