当時、クールなイメージしかなかった准の印象が少し変わった瞬間だった。 紺色の傘をクルクルと軽快に回して、ドキドキ胸を高鳴らせながら家に帰ったんだよね……。 あの日から… 准が見せてくれた優しさに強く惹かれて、“好き”っていう想いを強く感じるようになった。 「ちょっと、桜!?何ボーッとしちゃってるの?」 真那は私の目の前で、手を上下に振って視界を遮る。