夢から現実の世界に
引き戻したのは、
枕元で鳴り響く
携帯のアラーム。


鳴り響く携帯の音を
バックにぼやけた
視界で白い天井を見つめる
自分を起こした音が
設定したアラームの音
ではなく、通常の着信音
だったことに気が付いた
のは、その音が止まってからだった。



カーテンを開け部屋を
照らす陽の光のおかげで
部屋の中はだいぶ明るく、かけて寝ていた薄い
掛け布団は床に落ちていた



「ふあぁ〜」

布団を拾って掛けなおし
大きなあくびをしてから
もう一度眠りにつこうと
目を閉じたとき…
再び携帯が鳴り始めた。


「はい…」

寝起きの低い声。
それとは対象的に元気な
向こう側の声は
「やっぱりまだ寝てたぁ」と語尾を伸ばしクスクスと
笑った。


「あぁ、うん。今何時?」

「9時。待ち合わせまであと3時間だから、そろそろ起きてね?」

「あぁ、わざわざありがと起きたよぉ」


適当に返事をし電話を切ると、起きたという言葉とは裏腹に重いまぶたが落ちてくる。
起きなきゃ、起きなきゃと20%の私が私に言い聞かせる。でも残りの80%の私が再び眠りの世界へと
連れて行った。