目を開けて広がっていたのは地獄絵図…みたいなものじゃなかった。
誰かがあたしの前にしゃがみ込んでるらしく、視界に入ってくるのはこの人の首元だけ。


「初美?」


頭上から降ってきた声。

この人はあたしを知ってる。
その証拠が、あたしに向かって発したあたしの名前。
適当に言ってるわけじゃないってこと。



あたしの名前を呼ぶこの人は…だれ…?


顔を上げて…絶句。きっと目がてんになっていると思う。
開いた口が塞がらないっていうのはこういう事かもしれない。
それぐらい驚いた。


だってー…




「ど、どうして…みー君が…いるの?」



確かに、助けに来てくれないかな?ってちょっとだけ思ったよ?
でも、本当にみー君が現れるなんて思ってなくて…

もしかしたらこれは…夢?


無意識のうちにみー君の顔へと伸びる手ー…

異変を感じたのかあたしの手はみー君により捕らえられ



「この手は何をしようとしてんだ?」


「夢かどうか確かめようとー…」



はぁー、と溜め息をついたみー君はあたしの頬を軽く抓った。

「そういうことは自分の顔で確かめろ。」


すごく軽く抓ってくれたから痛みは殆どない。
ほんの僅かに感じる痛み。それが、これは夢じゃなくて現実なんだって物語ってる気がした。



「本当に抓らなくてもいいじゃん…」



って口を尖らせるあたしとは対照的に、抓った箇所を優しく撫でながら



「現実だっただろ?」


って笑ってるみー君。