「…ッタ…イ」
「いきなりぶつかってきていてーじゃねーか。どこに目つけてんだぁ!?」
ぶつかった反動で後ろに倒れる形になりおもいきり尻餅をついた。
お尻を擦りながら声のした方へ顔を上げると…
「…ヒィッ…」
上げた顔を一瞬にして下げた。
怖い。
すごく怖い顔をした人が立っていて…
もうダメだと思った。
『どこいったあの女!?』
後ろからは追いかけてきてる人達の声が徐々に近づいてきてて、前には怖い顔の男の人。
挟まれた…。
逃げ場がない。
あたしはこうなる運命だったのかな?
はぁー、ついてない…。
後ろから足音が近づいてくる中で、前からも足音が近づいてくる。
顔を下に向けているあたしの視界に前に立っている男の靴が入っているが動いてはいない。
ということは、別の人。
もう1人いるってことになる。
前から聞こえてきた足音が大きくなり、1人の人があたしに近づいてくるのがわかる。
怖くて顔が上げられない。
不安で体が動かない。
助けを呼びたいのに声も出ない。
視界に…歩いてきた人の靴が入ってもうダメだ…って目をギュッって閉じた。