最愛の人




「これから凄く迷惑かけるかもしれないし、我儘も沢山言うかもしれない…秦さんがこんなあたしでもいいって言ってくれるなら…あたしを引き取ってくれませんか?」


一瞬驚いた顔をした秦さんだったけどすぐに満面の笑みを浮かべて頷いてくれた。



しばらくすると秦さんが真剣な顔つきになって

「初美ちゃんに言ってなかったことがある」


「…な、なんですか?」

真剣な顔だからあんまりいい話じゃなさそう…


「俺の仕事なんだが、危ない仕事なんだ。なんていうか…裏の仕事?ってやつかな。だから一緒に住むってことはできないし、養子縁組もしない。」



「………」



「でも、初美ちゃんのことは責任を持って面倒みるつもりだ。困ったことがあれば必ず助けに行く…俺を信用して付いて来てくれないか?」



この人は信用できると思うからコクンと頷いた。



裏の仕事って聞いて…やっぱりって思った。雰囲気が…ね?
でも、そんなことはあたしには関係ないから。



「俺の目の行き届くところに引っ越して欲しいんだがいいか?」


秦さんが住んでるのは中区、今あたしが住んでるのは南区。
少し距離がある。



「あの家はどうなるんですか…?」


パパやママ、おばあちゃんとの思い出がたくさん詰まった家。
壊したりするのは嫌だ。知らない誰かが使うのも嫌だ。


「あのままにしておくよ。そうしたいんだろ?」



「ありがとうございます」



「そうと決まれば準備しないといけねーな」


秦さんはポケットから携帯を出し誰かと電話をし始めた。