そろそろ帰らなきゃ…
立ち上がり歩き出すと、泣いたせいで頭がぼぉーっとするからかな?
体がフラフラして足にうまく力がはいらない
って思った瞬間、足がもつれた
あっ、倒れる……
なんてことはなく、後ろからつかまれた腕を引っ張られ今度は後ろに倒れそうになる。
「大丈夫か?」
「…あ、はぃ…大丈夫です…」
耳元で聞こえる男の人の声
どこか優しくて、心地いい低い声
後ろに引っ張られたあたしは倒れることなく、この声の持ち主の胸の中に収まったみたい…
現状を把握すると、恥ずかくてすぐさま男の人と距離をとり後ろを振り返った
目の前にはスーツ姿がさまになっているカッコイイ男の人が立っていた
「すみません…」
「どうして謝る?」
だって…
迷惑かけて申し訳ないし
あたしなんかを助けてもらって申し訳ないし
胸の中に収まってしまって申し訳ないし
『すみません』って言葉しか思いつかなかったんだもん

