「こいつが言ってんだからそこまでにしとけ。」



「……はい。」


まだまだ言い足りない悪魔みたいだけど、"彼"には反論できないらしく素直に従ってくれた。


怒る必要がなくなった悪魔は徐々に天使へと変化していくはずが
後ろに控えていた男が何かを耳打ちしたことによりすぐさま悪魔へ戻られた…


ずっと天使でいたらカッコイイ&カワイイ風でいいのな。


「優さん、急用が入ったので失礼させて頂きます。後で倉庫に顔出しに来ますよね?」



「いや、今日は無理だ。近いうちに顔出しにいくわ。」



「そうですか…わかりました。車用意させますか?」


そう言って悪魔がちらっとあたしを見た。
違った、悪魔じゃなくて天使だ。いつのまに変化したのか…



「その必要はない。まだやることがあるからな。」


そう言って"彼"もあたしをちらっと見た。


なんであたしを見るの?
邪魔!?もしかしてあたし邪魔なの?



…そうだよね。
あたしだけ部外者だもん。
聞かれちゃまずい話だってあるだろうし…



帰ったほうがよさそうだね。
ベンチから腰を上げた瞬間


天使スマイルで『こいつらは連れていきます』と言って去って行った



「天使…?悪魔…?」



「あれは悪魔だろ。天使には見えねぇー」



「………」


心の中で呟いたはずが…口から出てた?
でも、天使と悪魔って言葉だけであたしの考えてることがわかったってことだよね?



…エスパーじゃないよね?


「俺はエスパーじゃないからな。」