『お疲れ様です!』


あたしの目の前の男たちが一斉に振り返り頭を下げている。
顔がすごく強張っているんだけど…怖い人でもくるの…?



「おまえら優さんに迷惑かけたらしいな?いい度胸じゃねぇーか。あぁ?」



『すみません!』


うん。怖い!!
なんていうか…顔が…すごい。
あれは、鬼を超えて悪魔だよ。



悪魔は言いたいだけ言うと顔をこちらに向けた。

「ひぃっ……」


咄嗟に隣の"彼"の服の裾を掴んだ。
そんな顔で見ないでぇー。怖すぎる…



「ジュン、顔がこえーからおびえてるだろ」



「あっ、すみません。」

"彼"にそう言われると、悪魔の顔が天使に変わった。
人間ってこんなに表情が変わるんだー…なんて思っちゃうぐらい優しい笑みをあたしに見せてくれた。



「おまえこんなとこで何してんだ?」



「あいつらが優さんに迷惑かけたって情報が入ったんで謝罪しにきたんです。」



”あいつら”の部分を強調し悪魔の顔で一瞬彼らを睨んだけど、また天使の表情に戻った。



「迷惑かけられたのは俺じゃなくてこいつだ」

って親指であたしを指した"彼"



「おめーら何やらかしたんだ?ことと次第によっちゃぁー覚悟しとけ!」

天使の表情であたしを見たあと、振り返り悪魔の睨みをきかせて叫んだ。
悪魔に睨まれたのが怖いのか、この後におこることが怖いのか、睨まれている男たちの顔がすごい強張っている。


「あのー…たいしたことじゃないのでそんなに怒らないで下さい。それに、湿布とか包帯とか色々持ってきてもらって、迷惑かけたのはむしろあたしのほうなので…」


悪魔がこっちを向き何かを言おうとしたから、掴んでた"彼"の服の裾をさらに強く掴んだ。