一目でわかる不機嫌さ。
眉間に皺を寄せてイライラオーラが放出されてる…気がする


怒ってる!あれは絶対怒ってる!!

あたしが頭を下げないから?
うん、きっとそうだ。
"彼"の目はどうやら私をとらえてるみたいだし…

あー…やっぱあたしも頭を下げるべきなんだ…





「おい」


"彼"から視線を逸らして頭を下げたのに、"彼"の言葉で自分が呼ばれたのかと思い下げた頭をすぐさま上げさせられた




『はい!』

周りの男たちも自分が呼ばれたのかと思ったのか一斉に頭を上げ、返事をした。



『おい』だけじゃ、誰を呼んだのかまったくわからない。
でも、"彼"の目はもうあたしをとらえていなくて、別の場所を、ある一点を見つめてた。

だから、あたしを呼んだんじゃないと思う…




「俺の知り合いに何か用か?」




"彼"が見つめるその先にあったのは、今だ男に掴まれているあたしの腕。




腕を掴んでいる男が何かを悟ったのか慌ててあたしの腕を開放し、また"彼"に頭を下げた。



「すみませんでした!優さんの知り合いだと存じていなかったもので…」