浩人くんは意外に
歌がうまい。
その美形なら
歌手にだってなれるかも。

それに
比べて私ときたら…。
歌も下手だし
ぶっさいくですからね。
いーもん。

はぁ…、喉がカラカラだぁ。

「未央。」

突然浩人くんが
私の名前を呼ぶ。

「ん?」

「前から気になってたけどさ
浩人くんじゃなくて
浩人って呼んでよ」

「浩人?」

「そう!」

「別に構わないけど。」

「うん。そうして。
めっちゃ嬉しいから。」

嬉しい…。
浩人の言葉が
頭の中を回り
心臓の鼓動が早くなる。

ハッ

ふと
我に帰る。

なに、緊張してんだろ
今更。



「ねぇねぇ、最後にさ
とっておきの所みせてあげるよ。」

とっておきの所?

あっ
屋上ね。

ついに来ましたか。
大丈夫。今の私なら
あんなことにはならないから。


スー
ハー

深く深呼吸する。

「何深呼吸してんの?」

不思議そうに
あたしの顔を除く。