魔力?
…そんなもの元から邪魔だったんだ
俺にとっては魔界で過ごす60年よりも
穂波と過ごす60年の方が価値がある
『魔力を失うということは
ただの人間になるが…』
「本望だな」
俺はただの『刹那』でいたいから
穂波と同じ『人間』でいいんだよ
『…重役たちにはワシから言っておく
お前の父親には遠征から戻ってきてから誰かが言うじゃろ
見つかったら厄介だということは言わないでも分かるな』
ジジィはこの年になってなのに
似合わないウインクをした
キモ…
「じゃあな、気が向いたら帰ってくるよ」
『その時はひ孫も連れて来い』
「バッ!……」
真顔で何をぬかすんだこのジジィは!
俺は何だか無性に恥ずかしくなったから
荷物を適当にまとめると足早に城から立ち去った
不思議と
寂しさは感じなかった
…時空の狭間を通っているときに
俺の背中から羽が抜け落ちていくような
そんな感じがした



