「刹那っ!」


『穂波ちゃん駄目!』



慌てて手を伸ばすのに

その手は全然届かない


立ち上がろうとしても

ゆっちゃんに押さえつけられていて動けない





お願い


待って


待って…!



せっかく言いたいことが言えたのに

こんなにもすぐに離れてしまうの?




…私のその願いが届いたのか


刹那はくるっと振り返って私の方を向いた




『穂波』




刹那に名前なんて何度も呼ばれているはずなのに
さっき呼ばれたのと同じなのに

今呼ばれたのはとても神聖なもののように感じた