…境内のすぐ傍にある大きな神木は
ざわざわと風を受けて揺れていた



ちょっと寒くなってきてんのに
…なんで私こんなとこ来ちゃったんだろ



はぁ



口からはため息しか出てこない






ぶるっ



「寒っ…」


やっぱり寒い

もう意地なんか張らずに帰ろっかな…



「帰ろ…」

私の決意はゆるかった



涙も出ないし

…失恋ってマンガみたいに涙出ないんだ
今になって気づいたし



くるっと後ろを向いて歩き出そうとした時