でも…
「悪ぃ、それも無理
後で傷つくのはあんただ
それに俺には好きな奴がいる」
今は
たとえ仕事だろうと
自分を裏切ることは出来ない
「お前もそんなに自分を安く見るな
だから男に振られるんだよ」
彼女の体は分かりやすいほどにびくっと動いた
『…やっぱり気付いてたのね
忘れたくても忘れられないのかな』
鼻から詰めていた息を吐き出して
彼女は空っぽなまま笑った
笑って上を向いたときになびいた栗色の髪が
…一瞬穂波の長い髪とかぶって
月明かりの日の残像を映し出した
アイタクナイ
…訳がない
自分の気持ちに逃げていても
必ずここに帰ってきた



