きっと ずっと もっと。

あたしよりもあたしが判ったと言っていた担任は、なんとあたしよりも早く教室に到着していた。

一体どれくらいの速さで走ったのだろうか。

教壇に立つ担任は、そんな事を微塵たりとも感じさせないけれど。


「遅いぞ。早く席に着け」

ただの男から、完全に教師の顔に戻った担任は、あたしが席に着いたのを確認すると出欠を取り始める。


そして連絡事項やら何やらを、淡々とした口調で話し出した。


「――で、遅刻未遂の“誰かさん”は放課後、進路指導室まで」

最後にそう締め括(くく)られたホームルームが終わると、遅刻未遂の“誰かさん”――即ち、たしは机の上に突っ伏した。


……誰の所為で遅刻しそうになったと思っているんだ。