「じゃあお前は、その幼馴染みと離れたいから、東京からも離れたい訳か」
「……はい」
一通り話し終えたあたしに、担任は納得した様に頷いた後。
「取り敢えず理由は判った。ついでに言うと、お前よりもお前の事が判った。だからこの話の続きは放課後だ」
早口に捲くし立てて、あたしを置いたまま進路指導室を出て行こうとする。
首を傾げてその場に佇(たたず)むあたしに、ホームルーム始まるんだよ、一瞥をくれ、
「さっさと教室戻れ」
慌ただしく職員室へと走って行った。
自分から聞いたくせに。
教師のくせに廊下を颯爽と駆け抜ける担任は、やっぱり教師らしくなく、ただの男に見えた。


