家族全員が揃った夕食は、賑やかだった。


25歳にもなるのに、あたしのおかずを盗ろうとする兄。

全くもって大人気ないその姿に、同い年のコーちゃんを重ね溜め息が零れ落ちる。


父は笑顔を絶やさず、母が話す今日の買い物談義に聞き入っていた。


そして夕食も後は片付けのみとなった時。

ふいに兄があたしに話を振って来た。
――あたしが今、一番触れられたくなかった話を。


「そういやお前、就職決まった?」


その話に食い付いたのは父で、もう2月だしなぁ、なんて心配そうな目であたしを見やる。